慢性閉塞性肺疾患(COPD)
タバコなど有害物質の煙を長期間吸入することにより引き起こされる肺の病気です。肺組織が破壊されたものを特に肺気腫と呼びます。初期では自覚症状が乏しいですが、徐々に痰がらみや動いたときの息切れが出てきます。診断は胸部レントゲン、CT、呼吸機能検査などで行います。最も重要な治療は「禁煙」です。症状をやわらげ身体活動を改善する治療として、気管支拡張作用のある吸入薬を使用します。吸入薬の種類は薬剤やデバイスが多岐にわたるため、各々の患者さんに合わせて適切な吸入薬を選択していきます。また肺炎を起こした場合は重症化するリスクが高いため、感染予防のため予防接種(インフルエンザ、肺炎球菌など)も推奨しています。
気管支喘息
空気の通り道である気道にアレルギーなどによる炎症が起こり、咳や喘鳴(ぜいぜい、ヒューヒュー)、呼吸困難を生じる病気です。夜から早朝にかけて症状がひどくなることが多く、ハウスダストの吸入などで悪化します。診断は症状の経過、呼吸機能検査、必要に応じて血液検査でアレルギー検査など行い、総合的に判断します。治療は吸入薬(吸入ステロイドや気管支拡張薬)やアレルギーの治療を行います。
慢性咳嗽(長引く咳)
3週間以内の比較的短期間の咳は感染症のことが多いですが、3週間を超える咳は咳喘息やアトピー咳嗽が多いと言われています。咳喘息とは気道が過敏となり、ゼーゼーといった喘鳴はないものの空咳が続く状態です。約3割は気管支喘息に移行します。アトピー咳嗽とはアレルギーを背景に咳が出やすくなっている状態です。そのほか、食道や鼻腔・副鼻腔が原因で咳が長引くこともあります。また肺癌や間質性肺炎など重篤な疾患が原因となっている場合もあるため、必要に応じて画像検査も勧めさせていただきます。
睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群の多くは、肥満や顎が小さいなどの原因で、寝ているときに空気の通り道が狭くなり、呼吸が一時的に止まってしまう病気です。また心不全などで脳からの呼吸の指示がなくなり無呼吸となる場合もあります。
無呼吸となると寝ているときの低酸素により、日中の眠気や倦怠感が強いため、うつ状態になったり、脳梗塞や心筋梗塞の原因にもなります。
まずは自宅での簡易検査を行い、治療適応の場合は睡眠中に機械で上気道の閉塞を防ぐマスク(CPAP療法)を付ける治療を行います。簡易検査で治療適応とならず、睡眠時無呼吸症候群の可能性が疑われる場合は、精密な睡眠時無呼吸検査を行います。精密検査は入院で行う場合のほか、自宅で行える場合もありますので、ご相談ください。